「失敗の本質 -日本軍の組織論的研究-」レビュー

「失敗の本質 -日本軍の組織論的研究-」戸部良一ほか著(中公文庫.1991年)を読みました。

2020年に読んだ本の中でbestに入る本です。

日本軍の作戦行動を題材に「なぜその作戦が失敗に至ったのか」という原因を「組織マネジメント」の観点から明らかにしたものです。

3章構成で、413ページ。

  • 第1章は作戦の具体例(ex.インパール作戦や沖縄戦など)と分析
  • 第2章は失敗要因の分析
  • 第3章は失敗の教訓

ややボリューミーですが、分量的には第1章の具体的な作戦の説明が長く、本書の核心である第2章、第3章はコンパクトにまとまっていますので、要点だけ知りたい人は2-3章だけ読めばいいと思います。

その核心たる部分の1つ、日本軍が戦争に負けた組織的な特徴を米軍のそれと比較した表がとても衝撃的でした。

ー以下、引用 (同著 表2-3.日本軍と米軍の戦略・組織的特性比較)-

項目日本軍米軍
1.目的不明確明確
2.戦略志向短期決戦長期決戦
3.戦略策定帰納的(インクリメンタル)演繹的(グランドデザイン)
4.戦略オプション狭い(統合戦略の欠如)広い
5.技術体系一点豪華主義標準化
6.構造集団主義(人的ネットワークプロセス)構造主義(システム)
7.統合属人的統合(人間関係)システムによる統合(タスクフォース)
8.学習シングルループダブルループ
9.評価動機・プロセス結果

ー引用終わりー

何が衝撃って「全く同じ問題が今も残ってるんじゃないか」と直感的に感じたこと。

例えば、どうみても敗色濃厚な状況での会議。

さっさと作戦を終了しないと被害は拡大するばかりなのに…

それを口にする立場にない。

それを言うと空気が悪くなる。

(何が言いたいか)顔色を見て察して欲しい。

そして状況が悪化してゆく…

いち組織人、一介のサラリーマンとしてもゾッとする事例がたくさんありました。

人のふり見て 我がふり直せ。

過去の先人たちが残した教訓を無駄にしないように、上記の組織的・戦略的特性は胸に留めておこうと思います。

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