2022年10月、お稽古の記録

茶道

※この記事は極めて個人的な茶道の記録です。

10月は中置の時期。

茶道を学んで最初のうちに感動した事のひとつが、この中置です。

中置では、風炉の位置が僅かに客に近づきます。

これは寒くなってきた時期に、風炉の火の熱で客に暖を取ってもらうためだと言われています。

道具の配置にそんな意味が込められているなんて。

言われないと気づかない、知らないと分からない。

しかし一度その訳が分かれば、合理性の高さに驚かされます。

こんな仕掛けを発見してゆくのも、初心者の茶道の楽しみです。

全般的なチェックポイント

● お道具の準備でうっかりしがち。準備し忘れがないように。帛紗のつけ忘れなど要注意。

●香合の拝見は、灰器を取ったら。お道具の拝見は、建水を取ったら。

●蓋置の正面から、柄杓の柄が伸びるようにする。五行棚に飾るときはこの点に注意!

●香合の中の、香木の扱いには2パターンある。

一つは取った手で握り込む方法。

もう一つは懐紙に取り出す方法。

これは本や先生によって違うらしいので、両パターン知っておくとよい。

個人的には、手で握り込むより懐紙に取り出す方が、香木の身になってみると(?)良いような気がするので好き。

香木を取り出してから、香合の裏側などを拝見する。

最後に拝見のお礼や香りの感想を。

中置

中置きは通常は自分の左側にあるはず風炉が真正面にくるので、めちゃくちゃ違和感があります。

風炉を置く板には、大板と小板の2種があるそうです。

棚は、大板に柱と天板がついた五行棚。

水指は細いものを左に、板に半がかりになるように置く。

この半がかりというのが、感覚的な半分よりも結構奥の方になる。

中置き、小板の炭手前

炭手前の基本を復習しよう。

●風炉の炭手前では「は、かん、ばし、こうごう…」というおまじないで覚えた順番で道具を扱うけれど、中置きではかん、ばし、は取り出さず、そのまま使う。

●釜敷の向きも違う。釜敷の輪が懐の中。

中置き、小板の濃茶

小板の濃茶
小板の薄茶

●蓋置は水指の正面。後で蓋を置くので、その際に蓋と水指が干渉しないようスペースに配慮しておく。

●水指はナナメをむけて置くが、蓋置は真正面。

中置き、大板で薄茶

大板の濃茶
大板の薄茶

五行棚

中置では五行棚(ごぎょうだな)という棚が登場します。

そう、あの陰陽五行思想です!

裏千家11代、玄々斎の好み(デザイン)です。

棚の中に、天板と地板の

風炉の中の

土風炉の

釜の

釜中の

すなわち木火土金水の五行を納めるところからの名称です。

裏千家茶道教則7 中置 より

見事なコンセプトに畏敬の念を抱かざるを得ません。

仕服は棚の上に置けるし、柄杓も棚の中に置けるので、中置が非常にやりやすい。

先生曰く「最初から五行棚を出すと皆コレしかしなくなるので、最初には絶対出さない」とのこと。笑

蓋置は、竹!これまで「棚は焼き物の蓋置」と覚えていましたが、誤りでした。正しくは水指を畳の上に置く時に竹、だそうです。

むしあけ、ぞうひこ、たむけやま?

お稽古の最中、立て続けに未知のワードに出会ったので記録しておきます。

まずはむしあけ。

これはある水指を指しての事のでしたが、「むしあけ」なる焼き物があることを初めて知りました。

虫明焼の公式HPより

調べてみたところ、「むしあけ」とは岡山県瀬戸内市の地名で「虫明」と書くようです。

焼き物については人より多く知っているつもりでしたが、これは全く知りませんでした。


続いて「ぞうひこ」。

これは「象彦」という京都の漆器メーカーで、菓子器の文脈で登場しました。

象彦のマーク。象はゾウの姿で可愛い。

最後は、たむけやま(手向山)。

菅原道真の歌に次のようなものがあるそうです。

「このたびは ぬさもとりあえず 手向山 紅葉の錦 神のまにまに」

百人一首にも採用されている有名な歌だそうです。

未知との出会いも、お茶の世界の楽しみなところです。

茶杓の銘

茶杓の銘を考えるプロセスは、季節の変化に心を寄せる訓練。

バリエーション豊かな秋の銘から、いくつか選んでみます。

茶の湯の銘 季節の言葉より

●秋時雨(あきしぐれ)…降ったり止んだりする秋の雨。「時雨」単独では冬の季語になる。

●稲の波、稲穂の波(いなほのなみ)、穂波(ほなみ)…秋の田んぼ一面に実った黄金色の稲穂が、風になびいている様子を海に例えたもの。

●玉兎(ぎょくと、たまうさぎ)…月のこと。月の中にウサギが住んでいるという中国説話から。川上不白作の茶杓の銘にも使われる。

●無月(むげつ)、雨月(うげつ)…空が曇って中秋の名月が見られないこと。

●金風(きんぷう)…初秋から晩秋までの秋風一般。五行説では秋は金にあたる事から。

「茶の湯の銘、季節の言葉」より

再び五行説に関する記述をキャッチ!

先月は龍田姫、立田姫(たつたひめ)という季語から五行説では秋は西にあたるということを学びましたが、木火土金水で分類するところの金でもあるのですね。

また驚いたのが、実際には見ることのできない月についての言葉があるということ!

実際には見られないものであったとして、「無月」「雨月」というと、それが見えるように感じられます。

言葉の力は、すごい。

10月=10代目

茶碗や茶杓の銘と共に、誰の作かという問答をします。

勉強のために、10月は10代目の作ということにして名前を覚えて行こうと思います。


裏千家10代…認徳斎柏叟(にんとくさい はくそう)

楽家10代目…旦入(たんにゅう)。

楽美術館より

旦入の作品、好きです。

今月を終えて

中置は10月限定のお手前につき、お稽古をつけていただけるのは片手で数えられる程です。

1回1回が重要なのは言うまでもなく、予習、復習のシミュレーションを重ねなければいつまで経っても上達しないのは明らかです。

人生100年。

ボヤボヤしていると、あっという間。

こういう刺激を得る事で、1日1日を充実したものにしていきたいと思います。

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