カバークロップの管理

植物

この記事は、リジェネラティブ農業について調べた個人的なメモです。


土を育てる事がカギとなるリジェネラティブ農業。

カバークロップと呼ばれる被覆作物を育てるところから始まります。

前回はカバークロップの役割や種類について調べてみました

今回はカバークロップに覆われた畑に、どうやって野菜類や穀類を栽培するのか、管理手法を学びました。

カバークロップの処理

この農法の考え方としては、

根っこを残して地上部を処理し、

植物の根が残るところにタネを撒く

ということのようです。

先ずは地上部をどうやって処理するか、調べてみました。

アメリカの事例を調べてみると「roller:ローラー」や「crimper:クリンパー」または繋げて「roller-crimper:ローラークリンパー」と呼ばれる機材が使われています。

トラクター前方についている黄色い機材がローラークリンパー。

大きく重たいシリンダー状のローラーです。

ウエイト代わりに中に水が入れられるよう中空になっていて、等間隔に山型の刃がついています。

これをトラクターに装着し、転がす事でカバークロップの地上部を物理的に切断・倒伏させます。

こうしてなぎ倒したカバークロップはそのままマルチとなるのです。

クリンパーで処理されたヘアリーベッチのマルチングと、そこに植えられたトウモロコシ

ローラークリンパーで鎮圧されたカバークロップは、根と茎が切断されていません。

その為に長く地表面に残って、マルチとしての効果をしっかりと発揮するそうです。

しかしこんな特殊な機械、日本ではそう手に入りません。

ここまでせずとも、面積が小さいなら手製のローラークリンパーという手もあります。

木で踏みつけるだけのクリンパー

ここで重要なのは、カバークロップを倒すタイミング。

RODEL研究所というアメリカの農業研究所のHPから引用・翻訳してみます。

カバークロップの50-100%が開花したタイミングでローラークリンパーをかけます。

気温が高く、湿度の低いコンディションなら尚よし。

https://rodaleinstitute.org/why-organic/organic-farming-practices/organic-no-till/

タイミングが早すぎるとカバークロップが再生してきますし、遅いとタネをつけてしまうからです。

この見極めが難しそうですね。

種まき

続いては種まき。

薙ぎ倒されたカバークロップに覆われた地表面に、一体どのようにしてタネを撒くのでしょうか。

調べてみると、アメリカで用いられている大規模な農家向けの種蒔き機には特殊な工夫が施されていました。

クボタHPより

先ずは「不耕起用コールター」というディスクが地表面の植物残渣を左右に押し除けます。

続いて「V型オープナーディスク」が地表面に切れ込みを作り、そこにタネを落とします。

最後に「鎮圧用プレスホイール」がタネの上に土をかけ、土とタネを密着させる、という工程です。


応用するとしたら、

小さい面積ならスコップがあれば手で1つ1つ植えていけばいいでしょうし、

少し広い面積ならディスク付きの手押し式種蒔き器が応用できそうです。

もっと広い面積なら管理機につけるディスク付きの播種器という選択肢も。

ただし、国内メーカーの播種器のディスクは「わずかに残る残渣をかき分けるため」のものとして設計されているはずなので、薙ぎ払われた分厚いカバークロップのマルチに対抗できるかは分かりません。

栽培方法が異なると、使う道具も異なる

ここまで見てきた通り、カバークロップで地表面を覆うという特殊性から、その管理道具もやや特殊なものが使われていることがわかりました。

一般的な慣行栽培と大きく異なるコンセプトのため、その機械類も特殊なものが必要となりそうです。

もちろん、育てる作物の種類や他のやり方によっては既存の道具類も流用ができるかもしれませんが、経営的に成り立つ面積で穀類や豆類をやろうと思うと機械類の更新は必須かと思われます。

これは日本の農地で普及させるのは、さぞ困難でしょう。

リジェネラティブ農業を始めるにあたっての注意

そんな事を考えていると、リジェネラティブ農業の研究用に参照している本『Organic No-Till Farming: Advancing No-Till Agriculture: Crops, Soil, Equipment』Jeff Moyer著に、この栽培技術に取り組むリスクとして次のような記載がありました。

この農法を選択する最も大きなリスクは、これまでと完全に違ったやり方、システムへと移行する期間中にある。

最初の数年間は学ぶべきことが多すぎて大変だ。

小さなエリアで実験的に始めてゆくのが良いだろう。

『Organic No-Till Farming: Advancing No-Till Agriculture: Crops, Soil, Equipment』Jeff Moyer著
https://a.co/4Nmh1p4

これまで見てきたとおり、いきなり大規模に取り組むのはあまりに大変で、リスキーです。

できる範囲から少しずつ始めてゆきましょう。

工夫のしどころ

アメリカのリジェネラティブ農業からカバークロップの管理の仕方を色々調べてみました。

面積が広いので機械化が進んでいますが、機械というよりやり方にフォーカスすると色々と工夫の余地がありそうな気がしています。

人生100年。

色んなアイデアを試してみたいと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました