アボカド栽培の事例研究.農研機構「アボカド栽培の手引き」

植物

(投稿日: 2020/11/ 2)

アボカドについて研究し続けるうちに、本格的に栽培したくなってきました。

そろそろアボカド農家に転身を図る頃かもしれません笑

こんなにハマるとは思っていなかったアボカド栽培の事例研究。

キリがないので、今回でこのシリーズは一区切りにしようと思います。

ネットで見つけた、農研機構のアボカド栽培の手引きなるものを読み解きます。

(文献の冒頭より)

亜熱帯果樹に関する栽培技術の研究開発は 発展途上であり、技術的に十分確立したものとはいえないが、亜熱帯果樹生産の普及やさらなる技術開発への一助とするため、リーフレット集として Web 公開するものである。2019年3月 研究代表者 杉浦俊彦

アボカド・パッションフルーツ「栽培の手引き」 リーフレット集
文献の全てが栽培に有用な情報の宝庫であるので、ここでは他の事例研究で情報が得られなかった項目をピックアップしてゆきます。

苗木の管理

苗木は購入後すぐに植えずに,購入時のポットのまま、十分根が張るまで育成します。その後鉢増しして,さらに育成した方がよいです。しっかり根を張らせてから根をできるだけ傷めないよう注意して植えます。 ※文献では10号ポットで育苗しています。

アボカドの根は浅く,風に弱いため防風対策は必須となります。防風樹の育成・整備はもちろん,幼木時は支柱を立てて固定し,四方を防風ネットで囲うなどして防風対策を講じる必要があります。

植栽後に土壌が乾燥すると,その後の生育に大きく影響するので,土壌が乾燥しないよう,かん水をすることが大切です。特に夏季の乾燥には注意が必要です。

アボカドでは植栽した翌春から花が着く樹がありますが,初めの着花から2~3年は摘らいをして樹冠拡大を図ります(写真3)。

植栽距離は,5~7m×5~7m(10a当たり 20~40本)とします。

着果安定技術

アボカドは,結果率が非常に低いことが知られています。
満開一月後頃の幼果時に環状剥皮(?)をすることにより,生理落 果が少なくなる傾向にあります (表2)。果実品質(脂質含量)に悪 影響は認められません。
...とありますが、環状剥皮って一体...

病害虫と防除

アボカドに寄生する病害虫は19科22種を確認し, その中でも重要病害虫はチャハマキ,ミナミトゲヘリカメムシ,アテモヤコナジラミ,ヤマモモコナジラミ,炭そ病であることがわかりました(2018年)。

経営評価

アボカドでは10a当たり収量600kg,単価1000円/kg,労働時間182時間 が見込まれます.

アボカド10a当たり【露地栽培試算】

収量600kg×単価1000円/kg = 60万円ー生産費39万 = 所得概算 21万円/10a


事例研究の具体例に経営評価を当てはめてみる

愛媛の農家さんは30aに100本植えているとありましたが、上の所得概算から単純計算すると63万円の所得となります。

宮崎のハウス農家さんはハウス面積15aですが、販売単価が高いので、単価を倍にして単純計算すると、やはり63万円の所得。

…予想したよりはるかに収入が少ないです。

同文献の中にはパッションフルーツの経営指標もありましたが、こちらは10aあたり116万円の粗利。

何かを見落としているのでしょうか…

労働時間も評価されているので、パッションフルーツのそれと見比べてみます。

アボカドの年間労働時間評価…182時間

パッションフルーツの年間労働時間…627時間

愛媛での事例研究で、みかんの栽培と比べてアボカド栽培は省力だという記載がありましたが、本文献研究でアボカド栽培はパッションフルーツ栽培の1/3の労働時間で1/5の粗利であることがわかりました。

アボカド栽培の大きな魅力が「省力」なことなのですね。

以前、農業機械フェアに行った時も、農機メーカーは各社「省力化」を謳っていました。

人生100年時代、農家の皆さんにとって省力で栽培できる果樹というのは確かに魅力的ですね。

今後も労働生産性のいい果樹の価値が高まっていくでしょう。

日本の人口減少を鑑みると、それは何も果樹に限った話ではありません。

一人当たりの生産性、時間あたりの生産性。

今後はこの辺りの価値がますます重要になりそうです。

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