南方熊楠、という人物

人物

(投稿日:2020/08/09)(更新日:2020/08/14)

南方熊楠は、明治から昭和にかけて活躍した学者。

石川嘉右衛門のように、教科書に名前が載るタイプの人物ではありません。

粘菌の研究で著名であり生物学者として名を成しますが、植物や昆虫類、または民俗学についても明るく、語学は十数カ国を操ったそうです。

南方熊楠記念館より引用

明治期に神島(かしま)という島の天然林が国策で伐採されそうであったところ、環境保護の観点から反対運動を起こし、遂には島を天然記念物にして保護せしめたという日本の生態系保護の歴史上のレジェンド。

「雨にけふる神島を見て 紀伊の国の生みし南方熊楠を思ふ」

天皇が詠んだ和歌のなかで歴史上ただ一人個人名が詠われた、正に空前絶後の人物。

南方熊楠に惹かれるのは、彼が正統派の偉人・超人・聖人ではなく、むしろ一歩間違えれば社会不適合者の奇人、変人だからでしょうか。

Wikipediaを参照するだけでも面白エピソードが山ほど出てきます。

  • 生涯、定職につかず
  • 人目もはばからず夏は全裸で過ごす
  • 飼い猫の名前は一貫して「チョボ六」
  • 語学習得の極意は「対訳本に目を通す、それから酒場に出向き周囲の会話から繰り返し出てくる言葉を覚える」の2つだけ。
  • 酒の失敗は数知れず。酔って暴れて逮捕され、勾留された牢屋で新種の粘菌を発見。
  • 留学中の大英博物館で人種差別発言を受けた相手に頭突き。1年後に再度同じ者を殴打し、博物館から追放処分。
  • しかし、熊楠の学才を惜しむ同僚から嘆願書が出され、復職。
  • 天皇に献上する標本を、テキトーなボロの菓子箱に入れて渡す。
南方熊楠記念館より引用

エピソードを羅列するだけでも書いていて気持ちがいいほどの奇人・変人です。

同じく民俗学のレジェンド柳田國男は熊楠を、「日本人の可能性の極限」と評したそうですが、言い過ぎではないと思います。

こんな生き方をした人物がいた…。

人生のロールモデルには全くならない人物ですが、彼のことを思うと型にハマりがちな自分の人生、考え方、気持ちが自由になる気がします。

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