お盆とは…横田南嶺老師の法話より

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昨年から「お盆」とは何か、を知りたくて色々と調べています。

お盆とは一体何なのか。

どういうふうに処すべきか…。

ただ単に「昔からこうしているから今もこうする」では納得ができないのです。

そんな疑問を持っていたのですが、臨済宗円覚寺の管長である横田南嶺老師の法話を聞いて理解が深まったので記録しておきます。

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お盆に確たる典拠なし

まず「お盆とは何か?」という問いについて、学術的に真にはっきりとした事はわからないそうです。

なんと単純に「物を乗せるお盆」を今日のお盆の起源とする説も有力な説とされるそうです。

学術的には諸説あり、との事だそうですが、お盆という言葉の元になったのは盂蘭盆経(うらぼんきょう)というお経だというのは間違いないようでして、この「うらぼん」という言葉が何を意味するのかというのが、分からないところだそうです。

盂蘭盆経(うらぼんきょう)の中身

盂蘭盆経は中国で成立したとみられるお経の1つで、お釈迦様が祇園精舎におられた頃の話です。

お釈迦様の後継者と目された木蓮尊者が、神通力でお母さんの死後の様子を観たところ、餓鬼道という地獄に落ちて苦しんでいるのを見つけたそうです。

お母さんを救うためにお釈迦様に相談したところ、多くの修行僧の力を借りれば救うことができるであろうと諭されたそうです。

「今の修行が7月15日に終わるので、この修行僧たちに食事を差し上げ、自らの親はもちろん全ての生きとし生けるものにお祈りを捧げなさい。そうすればその功徳によって救われる。」

このようなお釈迦様の教えに従って、無事に母親を救い出すことができた木蓮。

このような素晴らしい事は毎年行った方が良いのではないかとお釈迦様に提案。

そしてこの時期には、亡くなった方々のことを思って食べ物を備えるようになった、というストーリーです。

…お盆の成立の由来としては「…なるほど」と思うエピソードでありますが、神通力であったりとか、地獄に落ちているとか、ファンタジーが理解の邪魔をしてきます。笑

ウルヴァン/イラン系言語「祖先の霊」説

イラン地方の言語で、祖先の霊を意味する言葉「ウルヴァン」という言葉があるそうです。

これがインドを経て中国に至ったとする説があるそうです。

音や意味からすると「正にこれじゃないか」と言いたくなるものですが、この言葉を根拠とするには学術的根拠が乏しいそうです。

プラバルナ/反省会説

インドでは雨季に当たる季節に、お坊さんたちがお寺にこもって修行をする期間があるそうです。

この修行期間が明ける頃に、修行期間中を振り返って反省するイベントがあり、このイベントのことをプラバルナというそうです。このプラバルナがなまって「うらぼん」になったという説も有力だそうです。

この反省会が、雨季の明ける頃である7月15日ごろに開催されていることや、このイベントの性質などを鑑みるとは盂蘭盆経の中身とも通じるところがある、もっともらしい説です。

ウルランバナ/倒懸説

「うらぼん」というのはサンスクリット語で「ウルランバナ…倒懸.とうけん【逆さ吊り】の意」を語源とする説が、古くから語られてきたそうです。

逆さ吊りというのはどういうことかというと、物事を正しく見ていない、逆さまに見てしまっているのではないかという教えです。

例えば、人から受けた親切を「余計なお世話だ」と疎んじたりしていないか。

例えば、諸行無常、常に移ろいゆく日々を過ごしているにもかかわらず、「昨日と同じ今日が来る」「今日と同じ明日が来る」と思い違いをして日々を過ごしていないか。

例えば、人は一人で生きられない。

それにもかかわらず、自分一人の力で生きていると勘違いしていないか。

常に誰かの、何かのお世話にならないと生きていけないということを忘れて、逆さまに物事を見ていないか。

これがお盆の精神である。

…こう聞くと、なるほど! と思わされます。笑

学問的典拠はなくとも、実生活的意味はあり

お盆が何を始まりとするかは諸説ありということですが、どういう性質のものであるかはわかってきました。

私の一族にとってのお盆とは「年に一度みんなで墓参りをして、集まって食事をすること」と同義です。

現代社会において、お盆やお正月がなければ一族が一斉に揃うことはありません。

横田氏曰く大事なことは「親孝行の気持ち」「思いやりの心」「慈しみの心」とのこと。

父母の 忌を怠りて働けど 安らぎたまえ 良き子とならん

吉川英治

私なども日々の忙しさにかまけて、日ごろはなかなか祖先のことを供養できていません。

せめてお盆の時ぐらいは、と思います。

私の中で「お盆をどう処するべきか」なんとなく落ち着くことができました。

今年もお盆がやってきますが、いつも以上に心を込めたお盆が迎えらそうです。

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