茶道のお稽古で、炭をくべるお点前「炭手前」を学んでいる時のこと。

「灰を月型に切る」という1シーンがあります。
月型について辞書で調べてみると、次のような記載。
土風炉による初炭点前の時、灰匙で風炉灰正面、前土器(まえかわらけ)下を軽く掬い取ることを「月型に切る」という。
新版茶道大辞典より
これが一体何のために行われるのか。
いくら考えてもさっぱり分からなかったので、先生にお尋ねしてみました。
月型の意味するところ
初炭で灰を月形に切る理由は
「もうこの灰形は他の客を迎えては使いません」
という意味。
一期一会の気持ちの表現のようです。
さらに、後炭で藤灰で埋めるのは
「この一会の為に作った灰に藤灰を埋めて、二度と使いません」との事で同じく一会の気持ちの表現ですね。
さらに裏千家公式HPにも同様の質問が寄せられており、お家元が同じ意味の回答しています。
付け加えとして、「何席も行う大寄せの茶会では月形を切らずに客を迎えます」との記載もありました。
陰陽五行思想
更に興味深いのは、ここに陰陽五行思想があるということ。
先生曰く
「月形に切るのは火は陽で、月は陰となります。藤灰は雪を表してるので、蒔く事で火を治める」
ウーム…。
分かったような、分からないような。

約2年前にその存在に出会い、興味を覚えた陰陽五行思想。
茶道はおろか「アルミサッシの引き違いの左右、どちらが手前になるか」(答えは左)など日本の暮らしのあちこちに浸透している考え方です。
あまりにも当たり前にその思想が生活の中に組み込まれているので気づく事すら難しいのですが、これが分かると大変気持ちいいです。
極め尽くせぬお茶の道。
ますますその魅力にやられてしまいました。
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