茶道の先生からお誘いを受けて
青年交流茶会なるイベントに行ってきました。
この手のイベントに参加するのは初めてなので、何を準備して何をすれば良いか、右も左も分かりません。
「格好つけに行くのではない。学びのため、私は恥をかきに行く」とヘンな覚悟を決めて参加してきました。笑
学びを忘れないように、ここにメモとして残しておきたいと思います。
服装
時は7月末の猛暑日。
この時期の私の普段着は半袖・短パン・サンダルですが、流石にこの格好でお茶会には行けません。
茶道人口は圧倒的に女性が多いので、男はいるだけで目立ちます。
恥はかいても良いですが、悪目立ちはしないように気をつけなければなりません。笑
しかし季節柄、正装としてネクタイにジャケットまで着用するとあまりに暑苦しいかと思い、間をとってノーネクタイのクールビズスタイルで参加し、特に問題なさそうでした。
茶道のイベントに行く時は、男性ならスーツ系の正装で、季節に合わせて調整するスタイルでまず大丈夫そうです。

持ち物
持ち物はお稽古の時と同じ、いつものセットを持ち込みます。
そのうち実際に使ったのは、懐紙と楊枝だけ。
懐紙は別に無いなら無いでもよく、楊枝も無い人はその場で借りることが出来たので、結果的には手ぶらで行っても大丈夫でした。
畳の席にて靴を脱ぐシーンを想定して、念のために白い靴下(足袋の代わり)を持っていきましたが、使いませんでした。
しかし先輩から後で
「過去には和室の畳の部屋を使った事もある」
とも聞いたので、
履き替えるか否かは置いておいて、白い靴下は持っておくと安心です。
写真撮影について
未熟者で物覚えの悪いの私。
一つでも多くの学びを持ち帰りたいので記録写真を撮りまくりたいのが本音。
ですが、お茶の世界ではこれは良しとされません。
そこで同じ茶道教室の先輩にどうしたらよいか聞いてみましたところ、やはり席中の撮影はNG。
しかし、席に入る時か帰り際、つまり「自分を含めた客が移動している時」にサッと撮影する程度なら特に咎められることもないそうです。

このように書くと盗撮のようですね。笑
おそらく本当はダメだけど完全に禁止するのも難しいので黙認している、というのが実情ではないかと思います。
お菓子とお茶
誘導係さんの指示に従い、席に着いたらお菓子が運ばれてきます。
このお菓子を食べるタイミングも、私はよく分かっていません。
同じく先輩にお伺いすると、
「最初に正客が頂き、ついで次客が頂き、その次くらいのタイミングだと思う」
と教えて頂きました。
そして席でお菓子を食べて待機していると、お抹茶が運ばれてきます。
これも同様のタイミングで頂くのかと思いきや。
「大人数で開催する場合は、限られた時間の中でお茶を配り、その後に回収するなどの都合もある。」
「そのような場合はお茶を頂いたらすぐにいただくことが良い場合もあるらしい」
と教えて頂きました。
どうやらお茶やお菓子を頂くタイミングには厳密な決まりはなく、その場に応じて判断するのがよいようです。
この辺、今度お稽古の時に先生に聞いてみようと思います。
茶道、学びの方法
口伝を旨とするお茶の世界。
それゆえ微妙で曖昧なところも沢山あります。
自分一人で各種文献にあたり学びを深めることも大事でしょうが、先達たちに積極的に教えを乞うこともまた重要で、利休百首と呼ばれるお茶の教えの中にも次のような句があります。
はぢをすて 人に物とひ 習ふべし これぞ上手の もとゐなりける
利休百首より
学びの機会とは与えられるものではなく、自ら求めていくものなのですね。
感動
ここまでこんな事を書いてきて言うのも何ですが、
私にとってお茶の世界とは「全ては学び」とストイックに修行を重ねる事ではありません。
純粋に感動を得られる体験として、茶道が好きなのです。
例えばこの席では
「今年は8月4日が七夕です」
と聞き、ハッとしました。
七夕は正確には旧暦で7月7日に行う行事だということです。
考えてみれば今の暦が導入されたのは明治時代。
七夕はそれより遥か昔から伝えられてきた行事なので、当然といえば当然ですが、これまでそんなことは考えた事もありませんでした。
もう一つの感動は茶杓の銘。
席で使われていた茶杓の銘はカササギ。

この辺(筑後平野)では珍しくないですが、全国的には珍しい鳥の名がつけられていました。
こうした銘のついた茶杓が選ばれたのもも土地柄だろうと思い込んでいましたが、思い違いでした。
織姫と彦星の間に橋をかけたのがカササギと言われている為だったのです。
…こんなところにも七夕をかけていたなんて。
このエピソードを知っている人にとってはベタな組み合わせなのかもしれませんが、それに気づかなかった私にとっては感動的な話でした。
おわりに
コロナ禍の為、このようなお茶会は3年ぶりの開催との事でした。
私自身にとっては初めての体験でとても刺激的でしたが、ひとつこの体験から学んだ確かなことがあります。
それは直接体験するイベントの素晴らしさです。
お茶を裏方で点てている諸先輩方の気配、お道具の取り合わせの工夫、そして同席する客と客の距離感などは、現場でしか感じることのできないものです。
茶会とはその場の全てが渾然一体となって成立する
というのを肌で感じる事ができました。
人生100年。
私もいつか、そんなお茶会が主催できるようになりたいものです。
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