(投稿日: 2020/12/04)
野鳥の会の会員誌のレビュー。
コロナで経営が悪化しているらしく、合併号の発行が続いています。

今月号の特集は「生物多様性を推進する、これからの農業のあり方」。
畑を始めようとしている私にドンピシャのテーマです。
あまり知られていませんが、農業は最も環境を破壊する産業の一つです。
土壌の流出、生物多様性の破壊、化学合成肥料・殺虫剤の過剰利用など、工業的農業は大規模に自然を破壊してきました。
こうした現状は日本においても他人事ではありません。
農地生態系の状態は1950年代から現在(2016年)において損なわれており、長期的には悪化する傾向で推移している。
生物多様性および生態系サービスの総合評価報告書 2016年 環境省
(生物多様性の保全を確保した農林水産業が)目標に向けて進捗しているが、不十分な速度
生物多様性条約第6回国別報告書・日本政府
現状に対して政府は多様な交付金をつけていますが、これもあまり活用されていません。
野鳥保護に重要な生態系保全活動の実践に対しても補助金が出るということも殆ど知られていないのが現状です。
そして今月号の「野鳥」では、そうした制度を色々と紹介してくれています。
具体的には、生物の生息状況調査や在来生物の育成、希少種の監視や外来種の駆除など。
ふゆみずたんぼの維持(年4-8千円程度)や、自然環境保護の普及啓発、生息環境保護のためのビオトープなどの維持管理、日当や謝礼にも支出できるそう。
自然環境保護活動を草の根で行うときに、是非活用すべき制度ですね。
多面的機能支払交付金の他に、環境保全型農業直接支払交付金、中山間地域等直接支払交付金などの制度があります。
これを活用した具体例として、次のような事例が取り上げられています。
・徳島県の太田川地域保全協議会に対するツルの餌場作り事業
・山形県の三川町対馬地区環境保全協議会のシギやチドリのための「なつみずたんぼ」事業
・愛知県豊田市と地元の野鳥保護連絡協議会によるサシバ保護に有効な有機米作り
数は少ないかもしれませんが、知る人ぞ知る制度で、草の根活動に活用されている模様です。

最後に、会報と共に入っていたチラシ。
2010年のCOP10で定めた生物多様性保全目標を日本を含む各国政府は達成することができなかったそうです。
その達成割合はなんと1割。
…ショッキングな数字です。
あまりにもひどいと言わざるをえません。
自分の住んでいる地域では、多面的機能支払交付金のような制度を誰がどのように活用しているのか、調べてみようと思います。
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