(投稿日: 2020/09/08)
レモンのコンパニオンプランツを検討する上でテキストにも記載があった「ナギナタガヤ」について調べてみました。
ナギナタガヤとは明治時代に導入されたヨーロッパからアフリカ北部、西アジア原産の一年生草本。
秋にあまり植物の生育していないような場所に芽生え、春から初夏に開花・結実する。
種子を容易に採取することができ、雑草抑制能が高く、手間がかからないので、農家では雑草防除への利用が広がっているが、逆に雑草化する危険性があり、注意が必要である。
農業環境技術研究所より
コンパニオンプランツとしての有効性を検討して見ます。まずは雪印種苗の研究室から。
柑橘との混植について、ナギナタガヤとライムギとの比較です。
【雑草抑制・有機物補給】ライムギは刈り取りが必要なのに対して、ナギナタガヤは自然に倒伏して分厚いマット状になり土壌に有機物を補給するほか他の雑草を抑制する。
【経済性】種子の価格はライムギが安いが、ライムギは毎年タネ撒きが必要。ナギナタガヤは自然にこぼれ落ちた種子から自然発芽するので2年目以降経済的となる。
【結論】果樹栽培面積が大きいほどナギナタガヤのメリットは大きくなる。
こぼれタネから増えるというのは、ベランダガーデニングではあまり好ましくないです。
強風などでベランダからタネが流出したら、周囲の環境に不要な影響を与えてしまいかねません。
続いて静岡県産業部から。
【要旨】
・土壌のリンの流出を抑制する。
・ナギナタガヤ地上部の土壌還元による有機物施用効果、土着天敵増強効果等の多面的効果を有する。
・導入初年度には種子購入費を要するが、除草剤、殺虫剤、有機物による資材費を抑え られるため、長期的には生産コストを減らすことができる。
静岡県産業部のレポートより
概ね同様のことが記載されていますが、注意したいのは株元への播種について適応上の注意がありました。
カンキツの株元への播種は、カンキツとナギナタガヤとの養分競合を招く可能性があるので、全面草生栽培の場合でも株元は除草するのが望ましい。
静岡県産業部のレポートより
プランターでは株元から離して植えるのは困難です。
ここまでナギナタガヤについて簡単に調べてみましたが、こぼれタネから増える、株元への播種に注意ということでナギナタガヤはプランター栽培には向かないということが分かりました。
また、このレポート同様に他のレポートでも記載があったのが「ナギナタガヤのタネ撒き前にあらかじめ雑草の防除が必要」ということ。
つまり、他の植物を圧倒するような力はなさそうです。管理がコントロールできそうだというのは安心材料になりますね。
ナギナタガヤは柑橘の他にブルーベリー、モモ、クリなど幅広い果樹で試されているようです。
うちにもブルーベリーのプランターがあるのですが、テキストではブルーベリーのコンパニオンプランツとしてミントが推奨されており、現在はミントを混植しています。
ミントは苗を買ってきて、プランターに直接挿木して増やしたもので手間はかかっていませんし、ミントのおかげか否か全く害虫被害も出ていません。
ナギナタガヤがヘアリーベッチと比較して有利なのは、広範囲の果樹園などで2年目以降の播種の省力化が見込めることでしょうか。
広大なエリアであればあるほどナギナタガヤが有利になりそうですが、ベランダガーデニングではお世話になることは無さそうです。
コンパニオンプランツの先行研究を探す楽しさに目覚めてしまいました。
コメント
[…] そういえば以前調べたコンパニオンプランツ、ナギナタガヤなんかが果樹園で活用されていたはず。 […]