日本の「総理大臣」の代わりならいくらでも居る(もしかしたら別にいなくてもいい)が、ある特定の生物の代わりなど、どこにも存在しない。
「オガサワラシジミ」という蝶が、絶滅してしまったもはや絶滅かというところまで追い込まれています。
飼育下の個体が全滅、野生の個体が見つからなければ絶滅と認定されるようです。
(友人の指摘を受け、一部訂正しました)

原因は、外来種のトカゲ「グリーンアノール」の捕食圧によるもの。このトカゲはチョウだけでなく小笠原諸島固有のトンボやセミなども絶滅の危機に追い込んでいます。
化学肥料の記事でも書きましたが、種の絶滅は現在進行形で最も危険な状態であり、今現在は隕石の衝突による恐竜の大量絶滅と同程度の大量絶滅が起こっていると考えられています。
原因は全て、人間の活動に起因するものです。

こういうと、
「人間の活動も自然の一部なのだから、人間の活動によって絶滅するのも自然の摂理だ」
「人間の都合で導入された外来種には罪はない」
という反論の声が聞こえてきます。
私はこうした論調に賛同できません。
私が尊敬する昆虫学者の小松貴氏は、
「絶滅危惧種の保護活動も人間の活動の一部であり、絶滅へ向かう活動だけが正当化されていいわけがない」
「外来種には罪はないが、害がある」
小松貴氏、NHKラジオ「科学と人間」「絶滅危惧種の地味な虫たち」より
と喝破しており、私も全面的に同意します。
失われた生物種は、もう二度と元には戻りません。
残念なことに、シジミチョウの仲間の絶滅の危機は大したニュースにはなりません。
しかしこれが、マグロや、サーモンや、ウナギだったらどうでしょうか。
私だったら、マグロもサーモンもウナギも好きなので、「絶滅する前に何かできることがあれば取り組むべきだった…」と悔やむと思います。
生態系の上位に位置するマグロなど大型の魚類や、食品としての需要が旺盛なサーモンやウナギも絶滅の危機に瀕しています。
こうした事実を知らない、あるいは知っていても自分には関係ないと思う人は多く、状況は悪化の一途を辿っています。
人生100年時代を豊かな環境で過ごすためにも自分が貢献できることを探して、取り組んでゆきたいところです。
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