まだ本格的に茶道を始める前のこと。
とにかく抹茶が飲みたくて、抹茶の粉をマグカップに入れ、泡立て器で点てて飲むなど滅茶苦茶やってたときのことです。
島根の美術館や窯元でいただいたときのように上手に点てられない(当然です笑)ので、まずは形から。抹茶碗を求めることにしました。
そんな折に出会ったのが京都の作家「ははみや」さんの茶碗です。
この茶碗で茶筅を振ってみたときの感動は忘れられません。
「…なんて点てやすいんだ!!!!!」
いいお道具は気分をアゲてくれます。お茶を点てるのがとても楽しくなりました。
そんな、ある日。悲劇は突然にやってきます。酔っ払った状態で茶碗を扱っていたところ、手を滑らせて割ってしまったのです…(ショックのあまり写真は撮っていません)
お気に入りの茶碗。作家ものの一点もの。替えは利きません。
こういうときは漆の出番です。陶磁器は割れても漆で修理することができるのです。
愛着のある茶碗。
漆塗の職人にそれとやく修理をやっているか聞いてみたら「ウチは塗りが主。修理は手が空いた時にしかやってないから」と取りつく島もない。
かくなる上は、自力で。
破片に漆を塗ってくっつけていきます。上の写真はくっつけた後に隙間をチェックしているところ。(隙間から光が漏れています)
漆は乾くのに時間がかかります。
塗っては乾かし。塗っては乾かし。数ヶ月かけて仕上げます。
そして、完成。
金粉でつなぎ目を蒔絵して仕上げる(金継)のがよくある手法ですが、漆黒の線が白い器肌によく似合っているように思ったので、ここで完成としました。
独学・自力で修復ができたので、完成したときはとても嬉しかったです。
「不二」のような名品が素敵なのはいうまでもありませんが、今の私にとっては、偶然出会い、不注意で割ってしまったけれども、破れかぶれながらも実用に耐える程度まで復活したこの子は、家に来た時より更に特別な茶碗となりました。
割れた器をつなぐ喜びに目覚めてしまったこと、漆でかぶれまくったことも後日記録しようと思います。
コメント
こんにちは〜
このたびはご紹介ありがとう存じます
また出会いのご縁に、心から感謝申し上げます
せっかくお求めくださったのに、割れてしまい申し訳なく思います
ですがステキに修復してくださって、独学でとのこと、とても感動しております
漆の黒いラインがお抹茶の緑を引き立ててくれそうですネ!
かぶれ大丈夫ですか笑
続編楽しみにしていまーす
過日は素敵なお茶碗をありがとうございました。そして割ってしまって申し訳ございません汗
今後ともよろしくお願い申し上げます。
[…] 愛用の茶碗 […]
[…] 中でも、使い込まれている道具には特に魅力を感じます。 […]